40代女性がランナーズニーでご来院
お話を伺うと来年の東京マラソンに向け、本格的に走り始めて数ヶ月が経過。走ることにも慣れてランニングが楽しくなってきた矢先の故障、よくあるケースです。
最近は山中湖ハーフ、南魚沼ハーフなど立て続けにDNS…楽しみしてきたレースを走れなかったのは気の毒です。
ランナーズニー、正式名称は腸脛靭帯炎
解剖図にあるように大腿の外側を太い靭帯「腸脛靭帯」が骨盤から膝の側面まで伸びています。
この膝にくっ付いている部分(黄丸)が炎症を起こして痛むのです。膝の関節というよりもこの腱(腸脛靭帯)がスネの骨(脛骨)つながる部分の痛みなのです。
ランナーズニーの原因で多いのが着地、そして足を後方に蹴る動きの問題です。
「膝外反」
着地時に内側から外側へ膝を折るような力がかかるパターン。
「膝捻り」(ニーイン)
着地から後ろへ蹴る動きの中で膝を内側に捻るようなパターン。
ご本人にケガの原因や対策をお話したところ「一度きちんと走り方を習いたい!」ということでレッスンを行うことになりました。確かに運動経験豊富な方ならまだしも、一般の方が走っている時に体のパーツの動きに注意するのは至難の技、というか無理ですよね。
プライベートレッスン 原因の究明
駒沢公園集合
ここは木陰が多くて走りやすいのともう一つメリットがあります。
たくさんのランナーが走っているので、近くを通り過ぎたランナーの後ろ姿を例に「あの方は姿勢がいいのであんな感じで…」とかイメージを説明するのに重宝します。
早速ジョギング開始
軽くストレッチを済ませて実際に少し走って頂きました。すると…
凄く腕を頑張って振っておられました。「腕を振って走る!」これはとてもよく聞くコーチングポイントです。しかしこの方は拳を前方に頑張って振り上げておられるのです。この腕の振り方をする走り人は時々見かけます。
この走り方の問題点は姿勢が後傾しやすくなることです。腕を前に振ろうとすれば体は後ろに反りやすくなります。
肘をコンパクトに後ろに引く意識の方が姿勢は保ちやすいのです。また効率よく肩甲骨を動かすためには、前方で拳を振っていることは大きなロスなのです。
ランナーズニーの原因となるヒールストライク
姿勢が後傾すれば、膝を故障するリスクは俄然高くなります。姿勢の後傾はヒールストライク(踵着地)を誘発するからです。
ヒールストライク(踵着地)をすると多少の着地時のブレでもまともに膝に直撃します。ミッドフットくらいの着地できれば足首の遊びがブレや衝撃を緩和します。
そしてまたこの女性ランナーは体幹がゆるく、姿勢の悪さが着地の不安定さを招いていました。腹筋が弱いというより、どんな風に体の軸を作ったら良いのかがイメージできないようでした。
プライベートレッスン 正しいフォームの指導
この女性ランナーに必要なことは3つ
・姿勢矯正の指導
・走るときの重心位置の修正
・腕振り感覚の大改革
姿勢の矯正はまず背中のストレッチから開始。人間の背骨は真っ直ぐではありません。腰・胸・首が作り出すカーブが非常に大切です。ここを整えるストレッチです。
そしてストレッチの後には綺麗な姿勢を保つための腹筋の使い方を練習しました。
背中のストレッチ、姿勢の正し方は以前ブログでご紹介しました。こちらからどうぞ。
そして腕の振り方を指導。「こんなのいいんですか!!」とあまりの感覚の違いに戸惑っておられましたが…
肩甲骨の動きが生み出す骨盤の連動を説明しながら納得して頂きました。
いざ新フォームで試走!
さて気になることを正したら試走です。
とにかく教えた3つのことだけ気をつけて!そして力を抜く!
すると見違えるような綺麗なフォームで走っておられました。そしていつもは3km以降に発症する膝の痛みもなく元気に5km走り切りました。
「体の軸がしっかりする新しい感覚です!凄く楽に走れる!」と大喜びでした。
めでたし、めでたし。今後はジョグ中心のメニューでを組んで正しいフォームの刷り込みを行っていきます。
東京マラソンまで8ヶ月、頑張ろう!
レッスン後はご機嫌なご様子でマンゴーの串を堪能されていました。
ランニング指導ご検討の方はこちらまで。
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