ふくらはぎのトラブルは多いですよね。昨日も今日も市民ランナーのふくらはぎに鍼を打っていました。ふくらはぎの肉離れは一ヶ月ほど安静にしなければ完治しません。無理すると簡単に再発します。
そんな厄介なふくらはぎの故障を根本的に解決するためには、走るイメージを変えるべきです。
ふくらはぎ(下腿三頭筋)にあまり仕事をさせない走り方の体得です。これは「ふくらはぎを攣る」という問題の解決法でもあります。そしてこれはアキレス腱痛、踵痛、足底腱膜炎にも関連します。
ちょっとだけ解剖学です。下腿三頭筋とは下図の筋肉です。アキレス健が下腿三頭筋の下端で、膝の裏側周辺が上端です。ふくらはぎの膨らみが筋肉の中央部分です。この筋肉は次の働きをします。
・つま先で蹴る働き(ジャンプする)
・着地の時に踏ん張る働き(ジャンプからの着地)
この働きを楽に行い、ふくらはぎの負担軽減が図りたいところです。
まず必要なのは意識改革です。
我々市民ランナーは地面を足でグッと蹴って走る必要なんてないのです。
「足は着地するためにある」
足を着地したら、もう片方の足が着地するまで支えるだけ。足が地面を離れる際、後ろに蹴り上げるような形になりますが、これは「勢い余って後ろに跳ねているだけで自分で意識して行わない」ということです。あるランニングコーチは「マラソンは4万回ぐらい足の裏で地面にスタンプを押し続けていくイメージ」とおっしゃっていました。意図するところは同じです。
もう一つは…
「足の着地時に力が入り過ぎている」
力んだ状態で地面からの衝撃を受け止めるから、下腿三頭筋を傷めてしまうのです。
手首を足首に見立てて、着地のイメージを動画撮影しました。
動画①のように手首の力を抜いて机を叩くと、衝撃が分散して痛み、不快感はありません。
しかし動画②のように前腕に力を入れて手首を固めた状態で机を叩くと、ズシンと衝撃を受け止めてしまい、手掌、手首、前腕部にに不快感、痛みを感じます。これは足に置き換えると、足底、足首、下腿三頭筋です。つまり足底腱膜炎、アキレス腱炎、ふくらはぎ肉離れの原因となります。
力の抜けている筋肉は衝撃を吸収しながら伸ばされます。筋肉には伸張を監視するセンサーがあり、着地衝撃で伸ばされると瞬発的に縮みます。これを「伸張反射」というのですが、この機能を使いたいのです。力まずに地面に着地する感覚をジョグしながら養うのです。力を入れるタイミングを少し遅らせる感覚でもいいかもしれません。
ふくらはぎに肉離れ癖のあった患者さんもこの「膝下脱力走法」を体に刷り込み、ふくらはぎのトラブルを解消して「アタカマ砂漠250km」を無事に走破されました。
怪我の予防、記録の更新いずれにとっても「走り方のレベルアップ」が必要です。レベルアップのためには自分の体の感覚をもとに色々試行錯誤していく必要があります。「自分の体と会話しながら走る」ということです。よく分からないな…という印象を与えてしまうかもしれませんが、このプロセスはとても面白いので、ブログを通じてこれからドンドンお伝えできればと考えています。
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